社会の中の個人について
企業が社会の一部であると同時に
個人も社会の中で生きている
組織においての個人のあり方
組織内キャリア形成支援の考え方の新しさとは、「自らのキャリアに還元していく」という部分だと考えます。多くの経営者が疑問視することは、「体力がある大企業だからできるのではないか?」「能力が身について、自分らしい働き方に目覚めたら、さっさと転職してしまうのではないの?」「それが収益につながるのか」ということです。
しかしこれまでとは違い、個人のキャリアを尊重する現代社会において、企業が生き残りを考える時に持つもう一つの視点とは、企業が社会の一部であると同時に、個人も社会の中で生きているということです。
個人が現在求めている労働環境とは、有給休暇取得率向上が義務化、残業時間を厳しく制限、ストレスチェックの運用の義務化など、ライフワークバランスを重んじる考え方です。ダイバーシティ推進とLGBTQの理解などボーダレスな考え方、全てが個々の多様な価値観を尊重する環境が求められています。
ある経営者は、「こんな自由に言いたい放題になってしまって労働者を保護するばかり。育ててもすぐに辞めるし利益なんて上がらない。企業はどうすればいいんだ」と頭を抱えていました。
とはいっても、これまでは社員を家族のように扱うことでエンゲージメントを醸成していく仕組みがありましたが、現代社会においては、個々を尊重し「成熟した社会」を構成しようとする流れが先行し、これまでとは違う組織のあり方が求められています。人は意識的であろうと無意識であろうと個々の多様性を重んじる価値観の中に生きているということです。
企業には「個人に選ばれる力」と
「個人の能力を引き出す力」が必要
能力があれば働く企業も場所も環境も選べる時代です。能力(技量)と適性(人間力)が軸となり、転職も副業も推奨されているこの流れに歯止めはかけられません。優秀な人材ほど、流出してしまうというならば流出しないようにしていくことが必須です。